従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
1.5%の賃上げで税率3%の節税です。
スタッフの西川です。
本日は、平成30年度の税制改正における所得拡大促進税制の改正についてお伝えしたいと思います。
所得拡大促進税制(以下、「賃上げ税制」といいます。)は、平成25年度税制改正において、アベノミクスの一環として
個人所得の拡大を図る観点から、税制措置により企業の労働分配を促すことを目的に創設された税制です。
第2次安倍政権発足後、5年連続で政府による賃上げ期待を経済界に要請しており、最近では「3%の賃上げを期待」
と初めて具体的な数値にまで言及したことは記憶に新しいと思います。
大企業であれば、3%の賃上げを実現した場合には賃上げ税制により給与総額が増加した分の15%相当額が
法人税額から控除(法人税額の20%が限度)されることとなり、中小企業(概ね資本金の額が1億円以下の法人)
の場合には題名にあるとおり1.5%の賃上げで同様の税額控除を受けることができます。
中小企業であれば所得金額800万円までの部分に対する法人税率が15%なので、その20%が控除されるとすれば
実効税率として3%相当分が控除されることとなります。
さて、本題の改正内容ですが、下記の通りとなります。
【改正前】
以下の適用要件3つをすべて満たすこと
①給与総額が基準事業年度(平成24年度)から一定割合(3%)以上増加していること
②給与総額が前事業年度から増加していること
③平均給与額が前事業年度から増加していること
【改正後】
以下の適用要件を満たすこと
・平均給与額が前事業年度から1.5%増加していること
適用要件について、平均給与額だけで判定することとなったことで取扱いが簡便となったことや、改正前においては
「前期に中途入社した者」と「当期に退職した者」の給与水準により要件③の平均給与額に影響があったのですが、
本改正により「当期と前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者」とされ単純な賃上げで判定が
できることとなりました。
賃上げ税制は租税特別措置であるため、原則として3年間の期限を設けて実施される減税措置となります。
本改正は法人であれば平成30年4月1日以降開始する事業年度から、個人であれば平成31年から適用となるため、
しばらくは改正前の制度が適用されます。
賃上げはその効果(賃上げによるES向上 → 売上の拡大 → 利益増による税金の増加 → 賃上げ税制適用による
税額控除)を踏まえ是非前向きに検討してみてください!!