従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
競馬の払戻金を一切申告しなかった元会社員に対し大阪地裁が有罪判決
ご存知の方も多いと思いますが、先日、競馬の払戻金を一切申告しなかった元会社員に対し大阪地裁が有罪判決をだしました。
馬券の払い戻しは、国税庁の通達上は「一時所得」の例として挙げており、そこでは、
「当たり馬券の購入代金のみが経費」とされています。
今回のケースでは、元会社員は市販ソフトを改良した予想システムを活用し、土日に開催される全国の中央競馬のほぼ全レースに賭け続けたそうです。
そして約30億1千万円の払い戻しをうける一方、
約28億7千万円を馬券代に投入し、
利益は約1億4千万円だったとのこと。
当たり馬券の購入代金のみだと、約1億3千万円が経費となり、一時所得の金額としては約28億8千万円となり、脱税額は約5億7千万円、というのが検察側の主張でした。
今回の判決では、以下の2つの点が重要なポイントとなります。
1.「娯楽の域にとどまらず、継続的、網羅的で資産運用の一種と理解できる」
2.「通達は法規範ではなく、具体的事案の内容などを検討したうえで、実質的な所得分類の判断が求められる」
上記2点に基づき、今回の判決では、この所得が「雑所得」に当たると認定しました。
一時所得の経費は「収入を得るために直接要した金額」、
雑所得であれば「直接要した費用」以外にも「所得を生ずべき業務について生じた費用」なども経費として認められます。
だからこそ、「外れ馬券も経費」になるのです。
元会社員が一生かかっても払えない税金を負わされるのは現実的ではないと思われますから、現実に即した判決という点と、「通達は法規範ではない」と明確にした点において
画期的といってもよいと思われます。
ですが、これはあくまで例外で、原則は一時所得です。
また、競馬収入が年間90万円以上あった場合は、収支がマイナスでも確定申告の義務が生じます。
ですから、競馬ファンの皆さんは、外れ馬券が経費として認められたと短絡的に考えると脱税のリスクを負うことになりますので、くれぐれもご注意を!