• 2024.11.12

役員借入金と役員貸付金についてそれぞれのメリットデメリットを解説!

企業が資金調達を行う際に、役員借入金を利用するケースが増えています。
特に、他の融資手段を利用できない企業が、役員からの借入れを選択することがあります。
今回は、役員借入金や役員貸付金がある場合の影響について考えてみます。

 

役員借入金とは

役員借入金とは、役員から法人に対して貸し付けているお金のことを言います。
役員借入金は、会社が役員から資金を借りた場合や役員が立替えた会社経費が精算できなかった場合などに発生します。

 

役員借入金のメリット

役員借入金に対して支払利息を計上しなくても税務上問題になることはありません。
個人である役員は、必ずしも営利を目的としないためです。
また、金融機関からの借入に比べ、一時的・機動的な資金需要に対応できます。

役員借入金のデメリット

役員借入金を残したまま、その役員の相続が発生した場合、額面で評価され、相続税の対象となります。
というのは、役員借入金は役員側からは会社に対する貸付金になるからです。

 

役員貸付金とは

役員貸付金とは、法人から役員に対して貸し付けているお金のことを言います。
役員貸付金は、会社が役員に資金を貸し付けた場合や会社の資金で役員の個人的な支払いを行った場合などに発生します。

 

役員貸付金のメリット

会社の資金が減少し、費用にもならないため実質的にメリットと言えるものはありません。

役員貸付金のデメリット

会社は営利を目的としているため、役員貸付金に対して受取利息を計上する必要があり、それは課税の対象となります。計上しなかった場合は税務調査で指摘されます。

金融機関は融資の際に、資金使途を重視します。
決算書上に役員貸付金が計上されている会社に融資を実行する場合、そのお金が他の会社や個人に迂回融資されるのではないかという見方をします。
また、役員貸付金が多い会社というのは、経理処理がどんぶり勘定になっているケースがあり、金融機関はその会社の事業継続に危機感を持つようです。
役員貸付金については、役員報酬から返済するなど返済スケジュールを金融機関に説明することが必要です。

 

役員借入金と役員貸付金を減らす方法

役員借入金と役員貸付金を減らす方法についてそれぞれ解説します。

 

役員借入金を減らす方法

・役員報酬を減額して返済に充てる
個人の所得税・住民税・社会保険料等が減額されますが、会社の経費も減ります。
・債務免除を受ける
会社が赤字又は繰越欠損金がある場合に有効です。会社は債務免除益を計上することになります。
・DESを実行する
DES(デッド・エクイティ・スワップ)といって、役員借入金を資本金に振り替える方法があります。
役員の相続税の計算においては、貸付金ではなく有価証券として評価されます。

役員貸付金を減らす方法

・役員報酬から返済する
役員の手取額が減ります。
・役員が個人資産を売却などして返済する
土地や建物など一定の資産を売却した場合は、売却益に所得税が課税されます。
・役員退職金で返済する
役員の手取額が減ります。また、退職のタイミングまで役員貸付金が残ります。

 

まとめ

このように、役員借入金には一定のメリットがある一方で、役員貸付金には多くのデメリットがあり、その削減にも困難が伴います。
役員貸付金が発生する主な原因は、会社と役員の資金の区分が不明確であり、費用管理が不十分であることです。
このため、会社と役員のお金を明確に分ける仕組みを構築し、経理業務を整理・改善する必要があります。これにより、役員報酬などの固定費を正確に見積もり、利益を上げるために必要な売上や、現在の売上で利益を出すために削減すべき固定費を検討することも可能になります。

経理業務改善や、その先の利益計画、経営計画の策定は税理士法人FLAIRがお手伝いいたしますので、是非ご相談ください。

 

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