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2022.06.01
配偶者居住権とは?メリット・デメリットなど徹底解説!
配偶者居住権という権利が2020年4月から認められるようになりました。
この配偶者居住権を利用することにより、遺された配偶者が長年住み慣れた自宅で安心して住み続ける権利を得られるなどメリットもありますが、一方デメリットもあります。そこで、今回は配偶者居住権について、メリット・デメリットを含め解説していきます。
ご夫婦のどちらかがお亡くなりになったのち、遺された配偶者が、亡くなるまで又は一定の期間無償で住めるようにするために、お亡くなりになった方が所有していた自宅の権利を『居住権』と『負担付き所有権』に分けて相続できる制度となります。この制度を利用することにより、遺された配偶者は自宅に引き続き居住できる『居住権』のみを相続をし、その他の相続人が『負担付き所有権』を相続というように自宅を分けて相続できるようになったことにより、配偶者が自宅以外の預貯金などもバランスよく相続できるようになりました。
配偶者居住権の成立要件は、次のとおりです。
1.配偶者が被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していたこと
2.次のいずれかの場合に該当すること
3.被相続人が相続開始の時において居住建物を配偶者以外の者と共有していないこと
配偶者居住権は、配偶者がその居住建物の全部について無償で使用及び収益をする権利であることから、配偶者が居住建物の一部しか使用していなかった場合であっても、配偶者居住権の効力は居住建物全部に及ぶこととなります。
つまり、配偶者が従前居住の用に供していた範囲と配偶者居住権の効力の及ぶ範囲とは、必ずしも一致しない場合があります。
また、配偶者居住権は、その設定の登記を備えた場合に対抗要件を具備するとされており、建物所有者(被相続人から居住建物を相続により取得した者)は、配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務があります。ただし、配偶者居住権の設定の登記は、配偶者居住権の成立要件ではありません。
配偶者居住権の存続期間は、原則として配偶者の終身の間ですが、遺産の分割の協議若しくは遺産に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによります。
遺産分割の際に揉めてしまい、配偶者以外の相続人から自宅を売却するから出て行ってほしいと追い出されてしまう恐れもありますが、この配偶者居住権を設定することにより、その心配はなくなり安心して自宅にて引き続き生活することができます。
相続人が配偶者と子供のみの場合と仮定して、相続財産が自宅3000万円と預金3000万円 の場合、均等に相続させようとした場合配偶者が自宅、子供が預金を相続したとするといったことになり配偶者は生活資金が不足することとなりますが、配偶者居住権を利用して自宅の権利部分をわけて相続できることにより、配偶者が自宅の居住権1500万円と預 金1500万円、子供が自宅の所有権1500万と預金1500万円という具合にバランスよく受取やすくなります。
代償金とは、もしも配偶者が相続した自宅の価値が高く、他の相続人よりも多く相続することとなった場合、他の相続人に対してその差額分を代償として支払う現金を意味します。配偶者居住権を利用した場合、不動産所有権より居住権の方が評価額が下がるため、代償金を支払うわなければならないというリスクを低減できる可能性があります。
配偶者居住権は、配偶者のみに適用できる権利であるため、その配偶者が亡くなった場合には自動的に権利は消滅し、結果として居住していた配偶者も相続税課税資産をを減らすことができる可能性があるため、相続税を減税できるかもしれないということです。
配偶者居住権は配偶者のみに認められた権利であるため第三者に売却することはできません。
配偶者居住権を取得した配偶者は、相続した建物の費用を負担することが義務づけられているため、建物の固定資産税やその他の修繕費については配偶者が、負担しなくてはならないという義務が生じます。
配偶者居住権の評価計算方法には配偶者の余命年数が関わっているため年齢が若いと余命年数が大きくなり、配偶者居住権の評価額が高くなり配偶者居住権を取得する恩恵が少なくなる可能性もありますので注意が必要となります。
配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければなりません。ただし、配偶者が従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することは妨げないとされています。また、配偶者居住権は譲渡することはできませんが、居住建物の所有者の承諾を得た場合には、第三者に居住建物の使用又は収益をさせること(第三者への賃貸)ができます。
なお、居住建物の所有者は、配偶者との間で配偶者居住権を合意により消滅させた場合であっても、そのことをもって当該第三者(賃借人)に対抗することはできません。
居住建物が滅失した場合には、配偶者居住権は消滅します。
配偶者居住権の法的性質は、賃貸借類似の法定の債権であると位置付けられています。
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