• 2024.05.27

消費税の軽減税率とは?適用される取引、軽減税率による影響について解説

消費税の軽減税率とは

 

消費税の軽減税率とは、2019年10月1日に消費税率(標準税率)が10%(国税:7.8%、地方税:2.2%)に引き上げられたのと同時に、対象品目に限り8%(国税:6.24%、地方税:1.76%)の軽減税率が適用される制度のことを言います。

 

消費税の軽減税率が導入された背景

 

軽減税率の目的は、低所得者の負担を軽減するためです。
法人の所得に課税される法人税、個人の所得に課税される所得税等の直接税はいずれも所得の金額に応じて計算されています。つまり、所得が多いほど納税額が多くなり、所得が低いほど納税額が少なくなります。(これを累進課税制度といいます。)

しかし消費税は間接税に該当し、所得に関係が無く、購入した物品やサービスの価格に一律に課税されます。つまり低所得者であればあるほど、収入に対する税金の割合が多くなってしまいます。
そこで、生きていくうえで必須とされる食費や情報料(新聞代)に係る消費税を8%にすることで、負担を減らす狙いがあるのです。

 

軽減税率が適用される対象品目

 

では、軽減税率が適用される「対象品目」にはどんな品目が含まれるのでしょうか。

まず、軽減税率が適用される対象品目は下記の2つとされています。
①酒類・外食を除く飲食料品
②週2回以上発行される新聞(電子新聞は不可)

 

①酒類・外食を除く飲食料品

 

「①酒類・外食を除く飲食料品」の「飲食料品」とは、

「食品表示法に規定する食品(酒類を除く)」で「人の飲用または食用に供されるもの」

とされ、含むもの、含まないものの例として下記があります。

 

◆「①酒類・外食を除く飲食料品」に含むものの例 ※軽減税率(8%)対象

・テイクアウト、宅配の飲食料品
・有料老人ホーム等での食事の提供

 

◆「①酒類・外食を除く飲食料品」に含まないものの例 ※標準税率(10%)対象

・酒類(アルコール分1度以上の飲料)
・外食(飲食店での店内飲食)
・ケータリング、出張料理
・医薬品、医薬部外品

 

また、下記のように「人の飲用または食用『以外』の用途に供するもの」として取引される場合には、たとえ飲食が可能なものでも、軽減税率の対象にはなりません。

◆人の飲用または食用以外の用途に供するものの例 ※標準税率(10%)対象

・水道水
・鑑賞用植物
・清掃用重曹
・家畜等の飼料
・栽培用種子

一方で上記と似た資産であっても、下記のように「人の飲用または食用に供されるもの」は、軽減税率の対象となります。

 

◆人の飲用または食用に供されるものの例 ※軽減税率(8%)対象

・ミネラルウォーター
・食用アロエ
・食用重曹
・食用トウモロコシ
・食用のかぼちゃの種

なお、おもちゃ付きのお菓子のように、食品と食品以外のもので1つの資産を形成し、合計の価格のみが掲示されているもの(一体資産)については、原則として軽減税率の対象とはなりません。
しかし、下記の2つの要件の両方を満たす場合に限り、その全体が軽減税率の対象となります。

◆一体資産の全体が軽減税率の対象となる要件
①税抜価額が1万円以下であること
②食品の価額の占める割合が3分の2以上であること

 

②週2回以上発行される新聞

 

また、「②週2回以上発行される新聞」の「新聞」とは「一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもので、定期購読契約に基づくもの」とされ、含むもの含まないものの例として下記があります。

 

「週2回以上発行される新聞」に含むものの例 ※軽減税率(8%)対象

・スポーツ新聞、業界紙、日本語以外の新聞
・ホテルで宿泊客閲覧用として、毎回決まった部数を購入する新聞
※上記はいずれも、週2回以上発行で定期購読契約に基づくものとします。

 

「週2回以上発行される新聞」に含まないものの例 ※標準税率(10%)対象

・コンビニエンスストアで購入した新聞(定期購読契約に基づかないため)
・電子版の新聞
・週1回発行される新聞(週2回以上発行されていないため)

 

軽減税率はいつまで適用される?

 

軽減税率制度は、税法に基づいて実施されています。
現時点では、軽減税率制度に関する期限が定められていない為、法改正が行われない限り続く可能性が高いでしょう。

 

軽減税率による影響

 

軽減税率によって、事業者は2種類の税率に対応する必要があります。
その為、複数の税率に対応できる設備を整えたり、経理処理が煩雑になったりと、負担になることがあります。

ここでは、軽減税率による事業者への影響を解説していきます。

 

①軽減税率に対応したレシートの発行

 

軽減税率制度の実施にともない、2019年10月1日以降は8%と10%の税率となる商品が混在します。

その為、軽減税率の商品を取り扱う事業者は「標準税率の商品」と「軽減税率の商品」が区別できるレシートを発行しなければなりません。

例えば、軽減税率対象品目の商品に※を付けて、下部に「※は軽減税率対象品目」と記載する方法等がございます。(詳しくは「消費税 軽減税率の手引き」をご確認ください。)

軽減税率の導入に伴い、事業者は2つの税率を使い分けなければならない為、複数税率に対応したレジの導入、システムの改修などが必要になる場合があります。

また日々の業務においては、仕入の際に取引先から請求書や領収書の発行を求められる場合がある為、商品の把握と適切な管理が必要になってきます。

 

 

②軽減税率によって処理が複雑になる

 

軽減税率の導入により、事業者は適切な消費税額を計算する為に、売上と仕入について標準税率と軽減税率に区分して記帳をする必要があります。
税額の計算の際に区分して記帳がされていないと、標準税率と軽減税率の対象となる取引と税額がいくら発生したのか集計することができないからです。

インボイス制度による影響

 

2023年10月1日からインボイス制度の導入が開始されました。

消費税を納める課税事業者は、適格請求書発行事業者の登録を受けて、適格請求書(インボイス)を発行することとなります。これを適格請求書等保存方式といい、従前の区分記載請求書等保存方式は廃止されることになりました。

適格請求書とは請求書、領収書、レシート等を指し、「売手が買い手に正確な適用税率や消費税額等を知らせるための手段」とされております。また適格請求書発行事業者は登録を受けた際に発行された登録番号を適格請求書に明記しなければなりません。
なお不特定多数の者にサービスを提供するスーパーやタクシー業は適格簡易請求書の発行が認められております。

 

具体的に適格請求書に記載する事項は以下の通りです。

「国税庁 適格請求書等保存方式の概要 -インボイス制度の理解のために-パンフレット」

 

インボイス制度の詳細については、弊社ホームページ内でも特集しておりますので、ご参照ください。

インボイス制度とは?2023年開始までに早めに知っておきたい対応ポイント」(弊社ホームページ)

まとめ

 

弊社では消費税を始め、税務・会計に関する申告・相談を承っております。
税務・会計に関するご相談や税理士事務所をお探しの方はお気軽にお問い合わせください。

Facebook 税理士法人福島会計をフォローする

トップへ