どんな場合に必要?手続き面は?源泉徴収の対象となる報酬のあらまし
2022.03.16
所得税の給与所得となるものの範囲
スタッフの箱田です。
新型コロナウイルスの影響に伴い、テレワークを導入する企業が増えています。
東京都の2021年8月の調査では、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は65.0%と、2020年3月時点の24.0%と比較して、実施率が大幅に増加しています。
そのような状況の中、人事院の公表した「令和2年民間企業の勤務条件制度等調査」で、正社員が在宅勤務をしている企業のうち、在宅勤務に対する経費を「負担している」企業の割合は34.7%であり、そのうち経費を「給与として支給」している企業の割合は42.9%、「福利厚生費として支給」している企業の割合は7.9%という調査結果が公表されました。
上記で回答として挙がっている「給与として支給」と「福利厚生費として支給」では、税務上の取り扱いが異なり、
両者の重要な違いとして、「給与として支給」は、「福利厚生費として支給」と異なり、所得税の課税対象となるという点があります。
では、どんな取引が、所得税上の給与所得として課税されるのでしょうか。以下で紹介します。
まず、給与と言えば、基本給部分や金銭支給をイメージする方も多いかと思いますが、所得税上の給与には、それ以外の手当や現物支給も含まれます。
その中で、まず、手当について、残業手当、休日出勤手当、家族手当、住宅手当など従業員に支給する手当は、
原則として受給者側では給与所得となり、所得税の課税対象となります。
一方で、下記の範囲に含まれる手当は、所得税は非課税となります。
①通勤手当のうち、一定金額以下のもの
②転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
③宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの
なお、上記①~③の対象範囲については、それぞれ目安があり、
例えば、通勤手当の場合、電車・バス・マイカー・自転車など通勤方法によって下記のように規定されています。
また、食事の現物支給や物品の提供、商品の値引き販売等のように、
従業員に対して行った物や経済的利益の提供も、現物給与として所得税の課税対象となります。
さらに、現物給与は、金銭で支払われる給与と性質が異なるため、
従業員への食事の支給・記念品の支給・研修旅行などの特定の現物給与は、特別の取り扱いが定められています。
例えば、従業員に支給する食事の場合、以下の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。
・役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
・次の金額が1か月当たり3,500円(消費税及び地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
上記のケース以外でも、従業員への支給が給与として所得税が課税されるケースはあります。
判断が難しいケースもあるため、迷われた際は専門家への相談をおすすめします。
※在宅勤務に伴う費用等の所得税関係の取り扱いについては国税庁もFAQを発表しており、弊社ブログでも2021年2月17日に取り上げておりますので、ご参照ください。
福島会計でも、上記のような税務に関する相談を承っております。
会計事務所をお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。