従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
【揺らぐタワマン人気?】
東京オリンピックを追い風に建設ラッシュの続く湾岸エリアのタワーマンションですが、どの物件も売れ行きが良く、人気が続いています。
そんなタワマン人気を揺るがす逆風が吹き始めています。その原因にあげられるのは、世間を騒がすマンション傾斜問題だけではありません。タワーマンションに対する国税庁のチェックが厳しくなるというのです。
実はタワーマンションは以前より富裕層が節税のために購入するケースがありました。
例えば父と息子の2人家族で、父の遺産2億円を子が現金で相続すると4,860万円の相続税が課せられます。しかし1億円の現金と1億円で購入したタワーマンションの合計2億円を相続した場合、半分の2,000万円程度まで相続税を節税できるケースがあるのです。
そのカラクリはマンションの評価方法によります。そもそも土地や建物は相続税を計算する際に時価より低く評価されますが、それだけではありません。
まず土地部分の価額ですが、例えばある敷地に100戸の低層マンションがある場合に比べ同じ敷地に500戸のタワーマンションがある場合は、一戸当たりの土地価額は低くなります。住宅に占める土地の割合が低いと評価額を低く抑える効果があるため有利に働きます。
また建物部分についても、通常は高層階の部屋は低層階に比べ高価格となりますが、贈与税の評価上は、同じ面積であれば高層階も低層階も同じ評価額となります。
その結果、1億円で購入したタワーマンションの高層階が、例えば3,000万円前後の評価額となる場合があり、前述のように相続税額を低く抑えることができるというわけです。
しかし節税のためだけにマンションを購入し、相続後にすぐに高値で売り抜けるなどの行き過ぎたケースもみられることから、国税庁が著しく不適当なケースを厳しくチェックし、追徴課税する方針を打ち出しました。
今後のマンション市況に多少なりとも影響を及ぼすものと思われますが、一消費者としては、投機目的や節税目的で加熱するマンション市場が落ち着きを取り戻し、安心できる物件を適正な価格で取引できる環境が整うことを願っています。