どんな場合に必要?手続き面は?源泉徴収の対象となる報酬のあらまし
2022.03.16
「広大地の評価」から「地積規模の大きな宅地の評価」へ要件の明確化
こんにちは!福島会計の新井です。
今回は相続や贈与の財産評価の改正について取り上げました。
平成30年1月1日以後から著しく広い土地を相続や贈与した場合の評価方法が大きく改正となります。
著しく広い土地については、売却することが困難であること等の理由により、相続税等を計算する上での評価が減額される制度があります。
現行の「広大地の評価」での計算方法は、路線価での評価に“広大地補正率”をかけて評価します。
この広大地補正率の効果が大きく地積が500㎡の場合には42.5%、5,000㎡の場合には半分以上の65%が路線価での評価より減額されます。
評価を減額させる制度としては大きなものです。
ただし、あくまで「売却することが困難であること」を補正する制度であるため、この評価の減額制度を適用するためには下記のような要件を全て満たす必要があります。
①その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく広い土地であること
②戸建分譲する際に私道が必要になること
③マンションを建てるのに適した土地でないこと
④大規模工場用地に該当しないこと
マンション用地や工場用地として売却できるなら評価減は必要ないよね、というわけです。
では標準的な地積に比して著しく広い土地のとはどのような土地なのか、マンションを建てるのに適していない土地とはどのような土地なのか。
実はこのあたりの要件は不明確で、実際に評価の減額を適用し評価をしても見解の相違により税務訴訟や審査請求・損害賠償請求などトラブルが多発している状況でした。
そこで「広大地の評価」を廃止し、より要件が明確になった「地積規模の大きな宅地の評価」が規定されることになりました。
「地積規模の大きな宅地の評価」の要件は
①地積が500㎡(3大都市圏以外は1,000㎡)以上であること
②市街化調整区域(都市計画法の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域を除く)に所在しないこと
③都市計画法に規定する工業専用地域に所在しないこと
④容積率が400%(東京都特別区は300%)以上の地域に所在しないこと
⑤普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区として定められた地域に所在すること
の全てを満たす必要があります。
地積が具体的な数値となり容積率も加わり、要件が明確になっています。
「広大地の評価」では適用が難しかった「マンションを建てるのに適した土地でないこと」についても、上記要件を満たせばマンションの1室を所有している場合であっても評価の減額をすることができるようです。
また「地積規模の大きな宅地の評価」の計算方法は、通常の路線価による評価に“規模格差補正率”と各種補正率(奥行補正率など)をかけて評価します。
改正後に有利になるか不利になるかはその土地によります。
改正後に不利になる場合の対策としては、相続時精算課税制度を使って、改正前に贈与をする贈与を行うことです。
広大地の評価により贈与することで、土地の評価が改正後より低くなる可能性があります。
贈与には不動産取得税など経費がかかることや、相続時精算課税制度を適用すると小規模宅地の特例が適用できないことなどを検証して、改正前後のどちらが有利かを判断する必要があります。