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2022.06.01
うちの会社、設立から今までいくら稼いだ?~繰越利益剰余金と貸借対照表の重要性~
皆様こんにちは、山田です。
経営者の皆様は、今期いくら稼いだかは損益計算書の当期純利益で把握されていると思います。
では、会社設立から今まででいくら稼いだかわかりますか?
この質問に簡単に一言で答えるとすれば、それは貸借対照表に記載されている繰越利益剰余金の金額ということになります。
今回のブログの内容
1.繰越利益剰余金について
2.損益計算書と貸借対照表は繋がっている
3.貸借対照表の重要性
1.繰越利益剰余金について
損益計算書で計算された当期純利益は、株主に配当した金額を除き、繰越利益剰余金として貸借対照表の純資産の部に積み重なっていきます。(利益準備金や任意積立金とした場合は各項目として純資産の部に計上されます。)
したがって、繰越利益剰余金を会社設立から現在までの利益と考えることができます。
2.損益計算書と貸借対照表は繋がっている
会社法になる前の商法に従って計算書類を作成していた時代は、利益処分案という計算書類を作成することになっていたため、損益計算書の当期純利益と貸借対照表の資本の部(現在の純資産の部)の繋がりを自然に意識できていたように思います。
利益処分案とは、決算で確定した当期純利益のうちいくらを内部留保し、いくらを配当金として株主に支払うかを記載する書類です。
そして、この内部留保分が翌期の貸借対照表の資本の部に加算されます。
これが、会社法になって利益処分案がなくなり、株主資本等変動計算書になったことにより、特に同族会社が多い中小企業では配当などを意識せずに利益の全額を繰越利益剰余金にする傾向が強くなったように思います。
これにより損益計算書と貸借対照表の繋がりを意識することが少なくなっているかもしれません。
3.貸借対照表の重要性
貸借対照表の役割は、企業会計原則には「企業の財政状態を明らかにするもの」とあります。
貸借対照表の左側には資産の状況が、右側には負債の状況が示され、資産と負債の差額が純資産になるという構造になっています。
金融機関が貸し出しの決定をする際に重視しているのは、損益計算書よりも貸借対照表です。
損益計算書は1年間の経営成績を表すのに対して、貸借対照表は会社設立から今までの経営活動の結果が表されているからです。
自社株式の評価額の算定などにも貸借対照表が影響します。
損益計算書の売上や利益も重要ですが、より重要なのは貸借対照表をどういう形にするかを考えて経営を行うことです。
将来の貸借対照表を思い描き、そこに向けた経営計画を作ることにより、短期的な利益と長期的な利益のバランスをとることができます。
コロナ融資で増加した借入金の返済資金が必要なら、利益を出し税金を支払い資金を生み出す計画が必要です。
相続や事業承継を検討する際には、貸借対照表の純資産がいくらになっていて自社株式の評価額がいくらくらいかを把握することが第一歩になります。
貸借対照表を今一度見つめ直してみてはいかがでしょうか?福島会計がお手伝いいたします。