従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
役員退職金を現物で支給する場合
スタッフの原田です。
役員に対する退職金は高額になることが多く、新型コロナウィルスの影響により資金が少なくなっている会社に関しては現金ではなく、物品や不動産等での支給を検討しているケースも増えてきております。
具体的には
・法人名義の契約を個人名義に切り替える
・法人名義の土地、建物、車両等の固定資産を個人名義に切り替える
・役員貸付金を免除する
などがあります。
①退職金として認められるか?
原則として役員退職金の額が不相当に高額でなければ、現金で支給した場合と同様に役員退職金として損金となります。
②評価額は?
現物支給の場合、評価額はいくらか?ということが問題になります。
この場合の評価額は「時価」とします。
例えば会社で所有する土地・建物を役員退職金で支給する場合、帳簿価額が3,000万円であってもその時の時価が4,000万円であれば4,000万円を支給したことになります。
③消費税について
役員退職金を支給する場合は、原則として現物支給することを決議した株主総会議事録が必要になります。もし現物支給することを決議した内容の記載がない場合、金銭に代えて支給「代物弁済」したことになり、消費税の課税対象となってしまいます。
④法人税について
時価と帳簿価額との差額は固定資産売却益又は売却損として法人の益金又は損金となります。
又、役員退職金が過大であるとされた場合にはその部分は損金とはなりません。
⑤登録免許税と不動産取得税について
不動産の場合には所有権移転登記を行う際に
登録免許税・・・・課税標準×2%(内容によっては軽減税率が適用されます。)
不動産取得税・・・・・課税標準×3%~4%
がかかります。
その他にも退職所得控除を超える役員退職金の場合には所得税や住民税もかかってきます。
いかがでしょうか?メリット、デメリットの両方考える必要があると思います。
実際に現物支給を検討する場合にはすべてを踏まえてシミュレーションを事前に行う必要があります。
役員退職金は高額になることも多く税務調査でもよくチェックされる項目となります。
福島会計では税務だけではなく、付随する業務に関しても幅広く承っておりますのでご相談等があれば遠慮なくご連絡ください。