従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
【為替変動が税務に与える影響】
先日のイギリス北部のスコットランド独立選挙は僅差で独立反対派多数の結果となり、スコットランド独立は否決という結論が出ました。
日本人の感覚からすると、住民投票の結果で一つの国が誕生するというのはかなり不思議な感じがしますが、所内でも以前よりよく話題にあがっており、その結果に注目していました。
今回の選挙で一旦の落ち着きが見えたものの、今後の世界情勢や経済に与える影響は未知数です。
こうした最近の動きも絡んで、最近の為替の動きは目を見張るものがあります。スコットランドの一件ではポンドが乱高下し、円についてはここ数ヶ月であらゆる主要な通貨に対して円安が進んでいます。
こういった状況になると、我々が気にするのはやはり税務との関係です。
法人が、外国通貨や外貨預金(長期性預金を除く)、外貨建債権(長期のものを除く)、売買目的有価証券などを期末時に有している場合には、原則として税務上は期末の為替レートで評価替えをしなくてはなりません。
この時、円安が進んでいる状況で期末を迎えた場合には円換算額が増える、つまり為替差益が出て所得が増えることとなり、税額が増えることとなります。(外貨建債務を有している場合にはその逆になります)
一方で、原則期末の為替レートで換算する事が原則となっている場合でも、当期において新たに取得した外貨建資産の場合には、その年の確定申告時までに届出 を出すことによって発生時の換算額のまま、期末時のレートで評価替えする必要が無くなるケースもありますので、確認が必要です。
外貨建資産等の処理は思わぬところで税額が変動する一つの要因です。外貨が絡む事業を行っている方にとっては、予測を誤って資金繰りに失敗しないよう、気をつけたいポイントになります。