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2022.06.01
平成30年度改正の小規模宅地の特例について
スタッフの野澤です。
昨年の12月に税制改正大綱が公表され、相続税における小規模宅地等の特例について要件が見直されることになりました。
今回の小規模宅地の特例の改正は、平成30年4月1日以後の相続等に適用されます。
税制改正大綱とは、毎年12月半ば頃に発表される税制改正の原案で、翌年1月に行われる通常国会に税制改正関連法案が提出されます。
(貸付事業用宅地等の特例の見直し)
貸付事業用宅地の特例とは、被相続人がアパート賃貸など貸付事業の用に供していた宅地について一定の要件を満たす場合に、その宅地の評価額から50%減額される(200㎡が上限)制度です。
この制度を利用するために、一時的に現金をマンションなどの不動産に換えて、
相続税の負担を減らすケースが問題視されていました。
今回の改正では、相続開始前3年以内に貸付けを開始した不動産については、
50%減額の特例が適用されないこととなりました。
ただし次の場合は特例見直しの対象外となり、50%減額の特例が適用できます。
①平成30年3月31日以前に貸付事業の用に供さている宅地
②相続開始前3年を超えて、かつ、事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているもの
事業的規模とは・・・
所得税の不動産所得に係る事業的規模の判定基準と同じく「5棟10室基準」が想定されているようです。
5棟10室基準とは、アパートなどの集合住宅の場合は貸与することができる独立した室数がおおむね10室以上であること、独立家屋の貸付けについてはおおむね5棟以上で、事業的規模だとする基準のことです。
①の平成30年3月31日以前からの貸付けであれば事業的規模の要件はないので、マンションの1室のみの貸付けであっても経過措置の対象として、3年以内に相続がおきても50%減額の特例が適用できます。
小規模宅地等の特例についての要件見直しは、他にも、通称「家なき子特例」というものがありますが、こちらも一定の制限が課され、以前よりは要件が厳しくなる見通しです。
オリンピック後は不動産バブルがはじけると言われていますが、都内の人気エリアは需要がまだまだ底堅そうです。
今年の3月末までに賃貸用不動産の駆け込み需要があるかもしれませんね。