どんな場合に必要?手続き面は?源泉徴収の対象となる報酬のあらまし
2022.03.16
事業承継 税理士が連携
福島会計の小島です。
寒さが緩み春の到来を感じたと思いきや、一転再び雪が降る冬空模様。インフルエンザもまだまだ警戒が必要なようです。一方で花粉も飛び始めており、まだまだ体調管理には気が抜けません。
さて、今回は中小企業の事業承継問題をテーマに取り上げてみようと思います。
国内企業の99%を占める中小企業ですが、倒産件数が減っているにも関わらず、その数は年々減少しています。その要因の多くを占めるのが、後継者不在による廃業なのです。しかも、休廃業する企業のうち約半数は黒字だということです。
東京商工リサーチによると2017年に休廃業・解散した企業は2万8千社を超え、なんと倒産件数の3倍超となっています。なお経営者の平均年齢も61.45歳に上昇しているとのこと。さらに帝国データバンクが発表した「2017年 後継者問題に関する企業の実態調査」によると、国内企業の66.5%の企業が後継者不在という結果でした。
これらのことより、経営者の高齢化と後継者不在を理由にした休廃業は今後も増加することが予想されます。まさに大廃業時代を迎えているのです。そう言われてもあまりピンと来ない方も多いかもしれませんが、経産省の推計によると中小企業の廃業の増加により、2015年から2025年までの10年間で650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われるということですので、その影響はかなり深刻と言えるでしょう。
そこで政府は事業承継を促すための抜本的な税制改正で、相続税や贈与税の納税猶予の条件を抜本的に見直すなど、国を挙げて承継対策に動くなど、事業承継の環境整備に努めています。しかし、後継者がいる中小企業にとっては有意義な対策ではありますが、後継者のいない中小企業にとっては抜本的な解決策にはなっていません。
親族に後継者候補がいない中小企業にとっては、第三者に対する事業承継(いわゆるM&A)という選択肢が注目されていますが、現実的にはまだまだ浸透していません。
このようななか日本税理士会連合会が事業承継を後押しする新たな取り組みに乗り出します。税理士同士が経営者の同意を得た企業の情報を登録・交換することで、全国規模でM&Aを仲介するというシステムです。2017年4月に北陸税理士会で事業承継を仲介する企業情報の交換サイトを開設し、数十件の承継が実現したことを受け、2018年4月に全国の税理士向けのサイトを稼働する方向のようです。
まだまだM&Aに対する抵抗感が多い経営者がほとんどかとは思いますが、中小企業にとって一番身近が相談相手であるわれわれ税理士が仲介に関与することで、中小企業にとっては及び腰になりがちのM&Aを後押し、日本の廃業率増加に歯止めをかけるお役に立てれば何よりと思います。