どんな場合に必要?手続き面は?源泉徴収の対象となる報酬のあらまし
2022.03.16
【消費税増税の転嫁問題、買いたたきは禁止!】
来年4月予定の消費税率引き上げを前に、消費税転嫁対策特別措置法が今年10月1日より施行されます。
この措置法による「消費税還元セール」などの謳い文句禁止については以前こちらでも取り上げたとおりですが、
これとは別に、「買いたたき」禁止の影響が今後更に大きくなるのではないかと注目を集めています。
「買いたたき」とは、通常買い手が売り手よりも立場が強い場合に、不当に安い仕入価格を売り手に対して要求することを言います。
例えば大手スーパーが納入業者に対して、自動車メーカーが下請業者に対して、無理やり仕入の値下げ要求などを行うことです。
消費税増税にあたり、売り手のみが増税分の負担を負うことがないようにとの売り手保護の観点から、今回の措置法で「買いたたき」行為を禁止。
買い手が大規模小売事業者である場合や、売り手が資本金3億円以下の中小企業などであれば、無条件に対象業者に該当します。
具体的には、対象業者間で今まで105円(本体価格100円、消費税5円)でスーパーに納めていた商品が、来年4月以降の増税後に108円より安い値段になった場合、これが「買いたたき」行為とならないかが問題となります。
ここでは、108円より低く売ることを禁止しているわけではない、ということが要点です。
措置法が禁止しているのはあくまでも「買いたたき」であり、それが「公正な価格交渉の結果と認められる特段の事情の説明」があれば108円より低い価格でも良いのです。
しかしながら、そもそも「公正な価格交渉」とは?「特段の事情の説明」とは?
このあたりの定義は非常に曖昧で、108円を下回ることが売り手の努力によるものなのか、それとも「買いたたき」によるものなのかを見極めるのは大変難しいことが予想されます。
詳細なガイドラインは今後発表される予定ですが、
・価格交渉の協議を書面に残すだけでは、売り手が弱い立場の場合には強制的に書かされたとみなされる
・競合スーパーとの値引き合戦に対抗するため、の理由はあくまで買い手側の事情を売り手側に押しつけているため認められない
など、公正取引委員会は厳しく取り締まる見込みです。
納入業者のコストが下がったことなどを客観的に示すことができれば問題ないようですが、
実務的には難しく、売り手保護の弊害も懸念されるなど、企業担当者の間で新たな混乱を招くことも考えられます。
本文とは関係ありませんが、先週お伝えした事務所の空調の故障につきまして、
お陰様で無事修理が終わり、今は快適に業務を行っております。
ご心配下さったみなさま、ありがとうございました!