従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
【祖父母から孫への教育資金の一括贈与、ただ渡すだけではダメ??】
今般の税制改革により、祖父母などから教育資金の一括資金贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度が新設され、弊社にもここ最近これに関するお問い合わせが多くなってまいりました。
高齢者世代の保有する資産を若い世代への移転を促進することにより、
子供の人材育成に資するとともに、子育て世代の支援をして経済活性化を促す目的があるこの制度。
1人あたり1500万円までの教育資金の贈与が非課税として認められることとなっていますが、その対象となる教育資金の定義は広く、学校等(留学含む)に関する支出をはじめ、お稽古事や習い事など(学校等以外に関するものは1人あたり500万円まで)、教育全般に関するものが認められます。
また孫だけでなく曾孫に対しても利用できるなど適用できる範囲も多岐に渡りますが、この制度は2015年12月31日までの時限制度とされているため、早めの検討が必要です。
祖父母にとっても、孫のための教育費を支援しながら節税できるとあって、大きな関心が集まっています。
しかしながらこの制度は、孫にお金をただ渡せばいいというものではなく、
利用するには以下のような手続きが待っており、やや面倒な感が否めません。
●教育資金口座を開設しなければならない。
この制度を利用するための最初の関門として、信託銀行・銀行・証券会社などの金融機関等において教育資金口座の開設をしなければなりません。これらの金融機関等を通じて教育資金非課税申告書を提出することで、この制度が受けられるようになります。
●金融機関等が教育資金として支払われた事実を領収書等により確認。
教育全般に関する使途が認められるものの、その規定は細かく制定されており、このチェック、記録、税務署への報告は金融機関等が行うこととされています。よって、入学金や授業料などで資金を利用する際は、逐一領収書を学校等からもらって金融機関に提出しなければなりません。
●年齢制限がある。
この制度は30歳未満の孫に対するものが対象となりますが、
一括贈与した金額のうち、孫が30歳になった時点で使いきれなかったお金が残っている場合、その時点で「贈与」とみなされ、贈与税が課税されてしまうため予め注意が必要です。
このように、この制度はメリットがある反面、手続き面では少しハードルが高くなっているようです。
まとまった金額を一度に贈与しても、その場では税金の心配がいらないという面では今回の新制度を利用することは有用ではありますが、上記のデメリットを踏まえつつご検討されることをお勧めします。
一方で、実はもともと、子や孫に対して通常必要となる程度の教育費をその都度工面してあげるのであれば、これまでの制度上でも非課税であるということはご存知でしょうか?
あくまでも新制度は生前贈与対策のうちの一つです。
次回以降、この新制度の更なる詳細や、その他の生前贈与対策についても順次お伝えしたいと考えています。
その他疑問点などがございましたら、いつでも弊社までご相談ください!