従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
日本人の勝算
福島会計の山田です。いよいよ今週から所得税の確定申告受付が始まりました。
確定申告は原則自主申告です。近年は国税庁のホームページも充実してまいりましたので、ご自身で申告される方は参考になさってください。
先日、社内の会議でリーダーから「なぜ先進国の中で日本だけ30年にわたっての給料が上がらない状態が続いているのか。背景を整理し、具体的な解決策を考えなさい。」という課題が出されました。
これは大前研一氏が代表のビジネス・ブレークスルーの広告ということですが、皆様どのようなことを考えますでしょうか?
◆「日本人の勝算」
このブログのタイトルは、元ゴールドマンサックス金融調査室長で重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏(以下「著者」とする。)の著書名です。
約1年前に発行された本で、私は、世界と日本を知る著者が現在の日本経済をどのように見ているのかに興味を持ち図書館で予約していたのですが、上記の課題が出た数日後に貸出の順番が回ってきました。
読んで見ると上記の課題に近い内容であり、その解決策は中小企業に関わる内容でしたので少しご紹介します。
本書の内容は、主に以下の通りです。
経済成長は、人口増加と生産性向上の2つの要因があるが、日本は人口が減少するので生産性向上によるしかない。
生産性を向上させるために政府が最低賃金を上げて強制的に企業に生産性向上を促す。
中小企業は生産性向上のために企業規模を拡大させ、新技術を導入する。
生産性が向上し所得が増加する→消費が増える→税収が増える→財政が健全化する→好循環が生じ経済が成長する
この時点で、
最低賃金の上昇により生産性を向上することに無理があるのではないか?
失業や廃業が増えるのではないか?
という疑問が湧きますがその辺の説明も不十分ながら書かれています。
詳細につきましては、本書をお読みいただければと思います。
◆私の解決策案
リーダーから課題が出されたときに私が考えたことを少し書きたいと思います。
給料が上がらない背景は、将来の不確実性の増大による不安から企業も個人も国内でお金を使わずデフレが解消しないためと考えました。
適正な消費が可能な中間層を作るため月10万円程度のベーシックインカムの導入→環境や健康を意識した高付加価値商品サービスの消費が増加→生産性の向上→所得の増加→生活のためではない仕事への就労→将来への希望が持てる→人口の回復→次世代の負担軽減
最後を経済成長とせず、次世代の負担軽減といたしました。
次世代に負担をかけない持続可能な成長が必要だからです。
ベーシックインカムは働かなくなる人が増えるなど嫌悪感を抱く方も多いでしょう。
年金、健康保険、生活保護、補助金・助成金などをこれに統合し、一律支給することにより制度運営のコストを極限まで下げる必要があり、支給財源の確保には公的部門のコスト削減だけでなく、個人への資産課税も必要となるでしょう。(法人への課税は国際競争上の問題があるため困難)
そのため、私も政治的要素が大きく実現困難だと思います。国民のモラルが高い必要もあると思います。
しかし、オックスフォード大学の研究では20年以内に47%の職業が人工知能に代替されるとしてます。
野村総合研究所は、この職業を日本の労働人口に当てはめると約49%に相当するとしています。
もし、新たな職業への移行が進まなければ半数の人が無職になる可能性があるのです。
生活保護費と最低賃金が逆転しているという話もしばしば出ます。
この問題を国内で解決しようとするとベーシックインカムも検討せざるを得ない話になるかもしれません。
私の案の趣旨はベーシックインカムの導入ではなく、低所得問題の解決による次世代と地球に優しい成長です。
◆中小企業の経営
いずれにしろ生産性の向上は必須であり、著者の主張では最低賃金上昇下でも事業を継続させるという形で中小企業経営者がそれを実現しなければなりません。
最低賃金上昇による生産性向上と聞いて経営者の方はどのようにお感じになられたでしょうか?
著者はさらに中小企業の再編による規模拡大も必要だと主張しています。
当然中小企業経営者が実行できるように制度を整備する必要があることも書いています。
そのような政策が実行されると想定した場合、現在何を準備し将来どう行動する必要があるでしょうか?
他にも様々な解決策があると思います。
日本経済や社会の課題と企業経営を結び付けて経営計画を考えるという発想が必要ではないでしょうか?
経営計画の作り方がわからない、計画してもその通りにはいかないので無駄なのではないか、という方もいるでしょう。
むしろそれが普通だと思います。計画通りにならないことの方が多いかもしれません。
計画と実績で何が違ったのか?その課題に今後どう対応するのか?を考えるのが重要です。
課題に一つずつ対処し、環境の変化に迅速かつ柔軟に対応することが事業継続の鍵となります。
福島会計ではこのような経営計画作成のお手伝いをし、社長の希望や夢を共に実現したいと考えています。
社長の夢の実現に向けて、隣で伴走・支援することが我々福島会計の使命ですので、ご相談ください。