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2022.06.01
相続税調査の選定はどのようにするの?
こんにちは、野崎でございます。
今回は、元国税調査官の経験から、相続税調査の選定について、記載したいと思います。
【税務署は、相続税調査する対象をどのように選んでいるのでしょうか?】
相続税の申告について、財産の漏れの疑いがある場合は、税務署は、調査を行うことがあります。
それでは、税務署はこの財産の漏れをどのようにして見抜いているのでしょうか
まず、KSKシステムです。
【KSKシステムの活用】
KSKシステムとは、KOKUZEI SOUGOU KANRI(国税総合管理)システムの略称であり、全国の国税局や税務署をネットワークで結び、納税者等の申告に関する全情報を一元的に管理するコンピュータシステムをいいます。
このシステムには、過去の税申告関連のデータが全て蓄積されていますので、税務署としては税務調査対象の選定に利用しています。
相続税に関しては、被相続人の死亡の事実は、市区町村役場からの通知が税務署に入ります。
そこで税務署はKSKシステムを使って過去の申告データ(所得税、贈与税税など)を調べ、収入が多かった方や不動産所得のあった方などの相続人あてに相続税の申告案内を送付します。
そして、相続税申告を審査する際、被相続人の収入や資産(不動産評価も含む。)から明らかに相続税額が低いと評価されると相続税調査の対象になります。
【申告しない財産があった場合、どうして税務署はわかるのですか?】
不動産、預金、株式、生命保険等について、相続税調査前に、税務署はすでに確認しています。
(不動産)
不動産の相続登記は、法務局で行いますが、税務署は、法務局で行った登記情報は把握できるようになっています。
(預金や株式等)
預金や株式等については、税務署は、(本人名義のみならず、家族分も含め)銀行や証券会社に照会をし、かつ、過去にさかのぼって、入出金や売買の履歴まで確認しています。
(生命保険)
生命保険についても、税務署は、本人名義の生命保険のみならず、家族全員がどのような保険に加入しているのか、故人が保険料を負担してないか等、確認しています。
なお、実地調査で、現金、金地金等の財産漏れを把握した事例もあります。
【税務調査が来る確率?】
税務調査率は、個人課税調査 約2%、法人課税調査 約3%ですが、相続税調査は、約25%と高い数字になっています。
相続税申告の遺産総額の平均値が約2億5千万円ですので、財産が3億円以上あるようなケースでは、一般的に税務調査が来る確率が高くなります。
なお、税務署が、財産5億円以上と見込んだ事案については、特段の疑義がなくても、とりあえず調査しています。
以上のように、税務署の情報収集は、多岐にわたり、実質的に財産を隠すことは、ほぼ不可能な状況となっています。
しかしながら、無作為に調査先を選定しているわけではないので、上記のような事前調査を入念に行い、財産の漏れがありそうな可能性があるところを調査先に選定していますので、当初の相続税申告書にどこまで税務調査に入られないような工夫が重要となります。
【福島会計の対応】
税務調査の結果も、税理士の対応で変わります。
福島会計は納税者の立場に立って、税務署と徹底的に交渉いたします。