どんな場合に必要?手続き面は?源泉徴収の対象となる報酬のあらまし
2022.03.16
コロナ禍と現代貨幣理論(MMT)
福島会計の小島です。
コロナウイルスの国内感染者数は増加の一途をたどっています。緊急事態宣言時を上回る感染拡大の状況を鑑み、当社では8月3日より再びテレワークの体制へとシフトいたしました。
日経新聞によると、世界の主要企業を対象に2020年4~6月期決算を集計したところ、3社に1社で最終損益が赤字だったとのことです。コロナウイルスの経済への影響は日に日に深刻度を増しています。
先月7月18日、G20がテレビ会議を開き、世界経済を下支えするため今後も財政出動と金融緩和を続けるなど政策を総動員することで一致しました。積極的な財政出動が世界的なコンセンサスとなっています。
日本においても各種補助金や給付金など大規模な財政出動が行われていますが、その結果として大幅な財政赤字を抱える日本の国家財政がいよいよ破綻してしまうのではないか、と心配になってきます。日本の財政赤字は世界でもワーストクラスであり、政府も財政健全化を目指しているわけですが、コロナウイルス対策によりさらなる悪化は必至です。
このまま日本の財政はデフォルト(債務不履行)へと向かっていくのでしょうか。
このようななか、2019年から話題になっていた現代貨幣理論(以下MMT)に対する注目度が再び高まっているようです。
既にご存知の方も多いかと思いますが、MMTの特徴を簡単に要約すると「自国通貨を発行できる政府はデフォルトに陥るリスクはないため財政赤字を気にする必要はない」というものです。もっと丸く言うと「国はいくら借金しても大丈夫だから、公共投資などにどんどんお金を出して経済を活性化させましょう」ということです。巨額の財政赤字を抱える現在の日本に当てはまる部分が多いため、日本でも大きな話題になったのは記憶に新しいところです。
このMMTの支持者に従えば、今回の日本における大規模な国債増発を伴う積極的なコロナウィルス対策は歓迎すべきものであり、デフォルトの心配は無用ということになります。
ただ、MMTについては経済専門家からの批判が多く、ハイパーインフレや財政規律の緩みなどのリスクが指摘されています。また、非常に耳障りの良い理論であることから、政治家の票取りなどに利用されがちでもあるため、鵜呑みにすることは危うさを伴います。話題の理論でもありますので、まずは自身で概要だけでも理解しておくことが大事です。
とはいえ、MMTに反対の立場をとる財務省自身が「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と公式な見解で認めているように、MMTの主張のとおり自国通貨を発行できる日本がデフォルトに陥ることはないと考えて良いでしょう。
一つ言えるのは、財政健全化と今の危機を乗り切るための財政出動のどちらが重要かと問われれば明らかに後者であるということです。前述のように積極的な財政出動が世界的なコンセンサスです。
今我々がすべきことは、国が行う政策を最大限に活かし、できるだけ経済活動を活性化させることに集中することだと思います。この危機を乗り越えて生き残り、雇用を維持し、消費活動を行うことが求められています。そして将来に備え成長することです。そのためには、(あくまでMMTに対するスタンスは中立としつつも)いったんはMMTを都合よく拠り所とすることで将来の不安を傍らに置いておいても良いかもしれません。
将来の不安の前に萎縮するのではなく、感染防止に最大限の対策を講じながらも経済を止めない、という心構えが必要とされています。