従業員の資格取得費用等を負担した場合の取り扱い
2022.06.01
【2023年最新版】中小企業投資促進税制とは?要件を確認して活用を!
企業内生産性向上の目的などで、設備の取得が必要になった場合において、中小企業ではどうしてもその取得による金銭的負担が重くなってしまいます。そこで表題の「中小企業投資促進税制」という、設備投資に対しての税制優遇制度が施策として設けられています。今回はその概要や適用要件についてご説明いたします。
本制度は、中小企業等が新品の機械等を取得等し、指定事業にて用いる場合は、その使用開始した事業年度において「特別償却」または「税額控除」が認められるというものです。この特別償却、税額控除とは、一時的もしくは永久的という違いはそれぞれありますが、いずれも税額負担を軽減するためのものです。
適用期限は令和6年度末(2025年3月末)までとなっています。つまり、令和6年度末までに取得等を行った資産が対象となります。ただしこれまでも税制改正により期限が変更されてきていますので、今後また変更となる可能性があります。
①特別償却:初年度につき通常通りの減価償却に加えて償却できるというものです。対象資産の取得価額の30%が減価償却費に加算できます。
②税額控除:法人税額から直接一定額が減額されることをいいます。この制度の場合は取得価額の7%となります。
まずこちらの制度で対象資産の取得等の要件を満たしたら、一般に上記の①②についてどちらを適用するか、検討していくこととなります。
ではどのような違いがあるかについてですが、特別償却のとらえ方としては課税の繰延となります。通常ならば資産を取得等してから毎年計上していく普通償却額について、前倒しして償却するような方法のため、償却期間全体を通しての償却額合計は同じです。初年度のみ税額負担を減らしたいかどうか、という観点に基づいて選択することとなります。
一方で税額控除は、減価償却は通常通りの金額で損金算入されますが、さらにその期の法人税額から直接一定額が控除されることで、効果としては永久的に見て税額負担が軽減されているといえます。
いずれにせよ、実際の取得等の際にはそれぞれを適用した際にどのように税額に違いが出るかをシミュレーションするのがよいと考えられます。
本制度は青色申告を行う資本金1億円以下の中小企業などに対して適用されます。対象となる指定事業は、以下の通りです。
指定事業
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業および沿海運輸業、内航船舶賃貸業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業およびサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)、不動産業、物品賃貸業
本制度の対象となる設備に関して、種類と金額等による要件がございます。
対象となる設備
・1台160万円以上の機械装置
・1台30万円以上かつ複数台の合計が120万円以上の測定工具・検査工具
・車両総重量が3.5トン以上の普通貨物自動車
・内航船舶(取得価額の75%が対象)
・70万円以上のソフトウェア
・総トン数が500トン以上の内航船舶の場合※国土交通省への届出が必要
本制度の適用を受けるには、確定申告時に一定の手続きが必要となります。具体的には申告書に以下の書類を添付することで申請できます。
【特別償却の場合】
特別償却の付表(中小企業者等または中小連結法人が取得した機械等の特別償却の償却限度額の計算に関する付表)
適用額明細書
【税額控除の場合】
別表(中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書)
適用額明細書
また個人事業主も、確定申告の際に申請できます。ただし、提出する書類は法人の場合と若干異なるため注意が必要です。
上記で制度の概要についてご説明してきましたが、細かな条項もありますので、高額な資産を取得する場合には税理士にきちんと情報共有しておき、制度を活用できるか確認するようにして頂ければと思います。
今回は投資促進税制についての内容ですが、さらに一定の資産はより効果の大きい「中小企業経営強化税制」に該当する場合もありますので、事前の相談が非常に重要です。FLAIRでも税制面から様々なアドバイスを行っておりますので、ぜひお気軽にご相談下さい。