• 2014.11.12

【役員報酬の相当額】

newspaper-154444_640

先日、ある酒造会社が役員報酬について「不相当に高額」な部分があると判断されたことを不服として訴訟になっているという新聞記事がありました。

法人税法(施行令第70条)では、役員報酬について以下の状況を踏まえ「不相当に高額」と判断する余地を残しています。
①当該役員の職務内容
②法人の収益状況
③従業員の給与水準
④事業規模の類似する同業種の役員報酬状況
今回のケースでは、④の類似規模同業種との比較が主に争点となっている模様です。
参考までにおよその数値を引用すると、従業員数は約25名で売上高は約22億円の規模、退職慰労金を除く役員報酬としては1人当たりでは平均8,000万円ほどとなります。

これが高額かどうかを中小企業同士で比較すれば国税庁の理屈は通るように見えるかもしれません。しかし、中小企業の経営者は会社の債務に対して個人保証をしていることが多く、その点が上場企業の経営者とは違うところを忘れてはいけないと思います。

【参考】
中小企業の経営者保証については、今年の2月からガイドラインが
適用されるようになりましたが、厳しい状況は続いています。
http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2014/140130keiei1.pdf

記事の中で、同社の代理人弁護士が「国税庁が民間企業の給与に口をはさむべきではない」と話していた通り、実際に働いた対価としての報酬であり、かつ、そ の報酬には所得税が課されており、所得税率の方が高いと推察されるので口をはさむ必要はないと思いますが、訴訟の結果が気になるところです。

Facebook 税理士法人福島会計をフォローする

トップへ