どんな場合に必要?手続き面は?源泉徴収の対象となる報酬のあらまし
2022.03.16
様々な給付金や協力金、助成金は課税されるのか?
スタッフの西川です。
緊急事態宣言から1か月以上が経過し、同時に原則テレワークとした弊社の取組みも1か月以上となって参りました。
先週より当該宣言が39県で解除され、明日にも宣言継続中の8都道府県についての解除の可否を決める方針となっているようですが、当ブログでは引続きコロナ関連の情報提供が続いております。
本日は、コロナ関連ではありますが、税務会計の側面からいくつかご質問を受けたことについてご案内したいと思います。
題名にあります通り、今多くの給付金などの情報があふれ、毎週のように情報が更新されている状況です。
主なものとして、事業者に対して支給される「持続化給付金」「感染拡大防止協力金」が挙げられるかと思います。
また、紆余曲折がありましたが、個人の所得補償であり、1人当たり10万円支給となった「特別定額給付金」があります。
これらの給付金、協力金については、原則的には課税(特別定額給付金は非課税)扱いであるとされています。
(下記URL 42頁参照)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf
休業要請に対する協力金を支給する自治体は非課税措置の要望を出していたため課税措置に反発をしていますが、課税当局は公平性の観点から非課税としないことを決めたようです。
その点では、全国一律で支給を受けることができる「特別定額給付金」は、非課税とすることに公正性があるということになります。
一方で、これらの給付金、協力金は、もし不正受給等と判断された場合は、受給額以上の返金を求められることになります。
例えば、感染拡大防止協力金であれば協力金と同額の違約金、いわゆる“倍返し”が規定されていたり、持続化給付金であれば年3%の延滞金と、さらに2割加算での支払義務が課されるとされています。
【参考】(抜粋)
<東京都感染拡大防止協力金【申請受付要項】>
Ⅳ その他
1 本協力金支給の決定後、申請要件に該当しない事実や不正等が発覚した場合は、東京都は、本協力金の支給決定を取り消します。
この場合、申請者は、協力金を返金するとともに、協力金と同額の違約金を支払うこととなります。
<持続化給付金給付規程(中小法人等向け)>
(給付金に係る不正受給等への対応)
第10条 (略)
2 給付金の不正受給に該当することが疑われる場合は、長官は、事務局を通じ、前項の対応に加え、次の各号の対応を行う。
一 不正受給を行った申請者は、前項第2号の給付金の全額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額を支払う義務を負い、事務局は当該申請者に対し、これらの金員を請求する旨の通知を行う。
3 (略)
4 給付金は、事務局の審査を経て長官が給付額を決定する贈与契約であり、(以下略)
不正受給であるかどうかを問わず、後日返金することとなった給付金などは、法律的には民法703条の「不当利得の返還義務」(※)として返金することになります。
(※)不正受給であれば、民法704条の「悪意の受益者の返還義務等」の解釈になるかと思います。
では、これらの給付金、協力金を返金することとなってしまった場合はそれらの返金額は経費(損金)になるのでしょうか?
法人税では、法人税法第55条に「不正行為等に係る費用等の損金不算入」として、一部の罰金や延滞金については損金とならないとする規定がありますが、今回のケースではそれらに該当しないので、現行法上では問題なく損金になると思われます。
しかしながら、所得税では、所得税法37条に「所得を生ずべき業務について生じた費用」とありますが、具体的判断基準は定められていません。解釈により、必要経費にならない余地がある可能性があることは、留意が必要だと思います。
持続化給付金や休業協力金については、非常に多くの相談を受けており、今回特別に設けられた施策であるため、我々も調べながら慎重に行っております。
申請要件に該当するかどうかの相談の中で、「不正受給になってしまうのか?」というご質問もいただいたので当ブログで取り上げましたが、申請要件の最終判断は中小企業庁や東京都などが行うもので、正しく申請していればそもそも違約金が生じる余地はありませんのでご安心いただければと思います。