• 2024.09.12

補助金受給時に注意しておくべき収益納付とは?

 

今回は補助金収入で気を付けるポイントについて解説します。

一般的に補助金とは、特定の目的のために支出した経費に対して補助をする制度をいいます。有名なものでいえば「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」といった補助金があります。

しかし国や自治体が交付する以上うまい話ばかりではありません。

 

収益納付とは

 

補助金で購入した設備を用いて製品を製造・販売し、それにより利益が発生した場合には補助金の一部を国に還す義務があります。(または補助金額からの減額)

これは、税金を財源にしている補助金で相当の利益が生じるのは補助金の目的からふさわしくないという考えがあるからです。

とはいえ、利益が出たら全額を還さなければいけないというわけではなく、一般的には補助対象経費の自己負担分から取り崩しを行い、それでもなお利益が残った場合にその残った金額を収益納付する形になります。

※収益納付の最大は補助金受給額までです。

※収益納付は、商品の製造設備やECサイトの開設費用など売上に直接関わるものを補助対象経費にした場合に発生するもので、店舗の改装費用やネットショップ構築のないHPの作成費用など間接的な経費しか補助対象にしていない場合は発生しません。

 

収益納付が必要な補助金の例

 

・事業再構築補助金
・ものづくり補助金
・小規模事業者持続化補助金 等

 

収益納付になる場合とならない場合

 

収益納付の対象となる収益と、そうでない収益があります。
その上で、一定の収益が出ていることで、収益納付の必要が出てきます。
収益が出たからと言って、必ず返納しなくてはならないわけではありません。

 

収益納付になる場合

 

まず基本的に収益納付の対象となるのは「補助金を使うことで直接生じた収益」です。
具体的には以下のような事例が挙げられます。

・設備購入による利益
補助金を使って工場の生産設備を購入し、その設備で生産した商品から利益が出た場合が該当します。このような場合、補助金が直接利益に結びついているため、収益納付の対象となります。
・ネットショップ構築による利益
補助金を利用して自社のネットショップに買い物カゴや決済機能を追加し、その結果として販売が増加し利益が出た場合が該当します。この場合も、補助金が直接的に利益を生んでいるため、収益納付が必要です。
・展示会参加による利益
補助金を使って展示会に出展し、その場で商品を販売して利益が出た場合が該当します。このようなケースも、補助金が直接的に利益に結びついていると見なされます。
・移動販売による利益                                                       補助金で車両を購入し、移動販売事業を行ってその販売から利益が出た場合も収益納付の対象となります。

 

収益納付にならない場合

 

反対に利益に対しての因果関係が明らかでない場合には収益納付の対象となりません。
いずれもその後の営業努力によって利益を獲得したとみなすことができるからです。

・チラシ作成や配布
補助金を使ってチラシを作成・配布した結果として客数が増えたとしても、直接的な因果関係が明確でないため、収益納付の対象にはなりません。
・店舗改装
補助金で店舗の改装を行った後に売上が増加した場合でも、直接的な利益とは言い切れないため、収益納付は不要です。

 

納付金額の計算方法

 

収益納付額は以下のように計算されます。


・本年度収益額                                                       補助事業で得られた営業利益。売上から経費を控除して計算します。
・控除額                                                                      事業者が自己負担した経費。補助事業にかかった金額から補助金額を控除して計算します。
・補助金確定額                                                                         受け取った補助金の総額。
・本年度までの支出額                                                                補助事業に関連する累計支出額

機械設備を補助金を活用して購入した場合で見てみましょう。

補助金額:500万円
補助事業にかかった金額:1000万円
この事業で得られた営業利益:600万円
対象期間:5年間

(600万円ー(1000万円ー500万円))×(500万円÷1000万円)
=(100万円)×(1/2)
=50万円

となります。

以上のように収益納付がいくら発生するか検討を行うことをおすすめします。
専門家に補助金の手続きを依頼する方は、専門家に払う報酬も考慮すると、なおよろしいかと思います。

 

補助金受給時に注意しておくべきもう1つのポイント「消費税返還」

 

もう一つのポイントは、補助対象経費に係る消費税の取扱いに気を付ける必要がある点です。

補助金を申請する場合、基本は税抜き価額で申請をするのですが、もし税込み価額で申請した場合、補助金の中に消費税が含まれることになります。

この状態で消費税の確定申告を行うと、補助対象経費の消費税も納付税額から控除されるため二重の消費税還付を受けることになります。

それを防止するため、補助対象経費分の消費税相当額を返還する必要があります。

※簡易課税事業者・免税事業者・課税事業者で個別対応方式の「非課税対応仕入」で処理をしている場合は消費税の返還はありません。

 

まとめ

 

補助金を申請した際にはこれらの確認が必要になりますので、是非担当にご一報ください。

弊社は「認定支援機関」として補助金申請のお手伝いが可能です。

また、経営計画書の作成サポートといった経営支援業務も行っています。

ご興味がありましたら是非ご連絡ください。

 

 

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