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2022.06.01
企業のライフサイクルで現状分析・未来を見据える
皆様は企業のライフサイクルについて、聞いたことがありますでしょうか。
人と同じように企業にも創生から衰退までのライフサイクルがあるという考え方です。
企業が次なる成長発展を遂げていくためには、適切にこのライフサイクルを数字から把握し、未来を見据えることが重要です。
コロナで先行きが見えにくい中ですが、『今』と『未来』それぞれのBS(貸借対照表)・PL(損益計算書)を眺めて、ここから現在どのステージにあってどのような行動を取っていけばよいのか、分類して見ていくことで次なる一手の決定に役立つと考えられます。
企業ライフサイクルとしては5分類が一般的ですが、ここでは、より製品ライフサイクルに近い分類を用いて、「成長期」→「成熟期」→「減退期」→「衰退期」の4つのステージに当てはめてみます。早速それぞれのステージについて見てみましょう。
1. 成長期
起業し、事業が拡大しているステージです。
このステージに当てはまる企業の特徴例としては、
①売上は伸びつつあるが、先行投資が多く、現状の損益は赤字。将来的には改善する見込み。
②先行投資が過剰になりがちである。
という点があります。
ここで対策すべきこととしては、まずPLの面から、利益計画の作成・シミュレーション、計画と実践に基づいたPDCAサイクルをまわしていくことが挙げられます。
そしてBSの面からは、過剰在庫、過剰な設備投資に注意しながら、資金調達と利益による返済のバランスを保っていく必要があります。
このステージでは成長拡大して売上が伸びているので、その伸びだけに着目しがちですが、シミュレーションをしっかりとし、BSも成長の見込みがあるのかどうか、将来資金繰りで苦しむことにならないか、見ていくことが重要です。
2. 成熟期
成長がやや鈍化して、次の成熟期のステージに入っていきます。
このステージについては
①現状も将来的にも利益が出ることが見込まれるため、基本的には利益を積み増していく
②BSを見てみると、成長期の過剰設備投資などを引きずっていることがある
ということが考えられます。
PLは①の通り、良い状態なので、引き続き未来のための費用(広告宣伝費、採用教育費等)を予算に基づいてかけていき、安定成長することが考えられます。
一方で、成熟期ということは、次に減退期~衰退期が待っているかもしれない、と考えて、この時点で未来像を意識して対策しなければなりません。
BSを眺めてみて、借入が膨れ上がってはいないか?1の成長期に続き過剰な在庫や設備投資はないか?何か資産を購入するときに、それは本当に必要なものか?といった課題点がないかどうか、検討してみるのがよいでしょう。
3. 減退期
この減退期のステージでは、市場の縮小や商品・サービスの寿命が予見されています。
①現在は利益が出ているが、将来的には厳しくなると予想される
②利益の悪化に伴って、資金繰りも厳しくなっていく
という特徴が考えられます。
過去の内部蓄積があるのであればうまく運用することを検討し、PLの面では適宜固定費の見直しを行う必要があるでしょう。BSの面からは、状況に応じて資産の換金可能性の確認、早急な資金調達、借入のリスケといった策を、資金繰り表を作成した上で講じていきます。
この時点で場合によっては、新たなビジネスモデルの検討や既存事業の縮小・撤退が最善の選択肢である可能性もあります。事業の未来像をイメージして、早急に適切な策をとっていくことが重要になります。
4. 衰退期
減退期から、事業が縮小し発展可能性も見込めなくなってしまったステージです。
ここについて考えられるのは
①現在も将来的にも利益が出る見込みがない。
②自己資本が厚ければ現在のBSは良い場合もあるが利益が出ないので今後良くなっていく可能性は低い
という点です。
まずは根本となる社長の戦略を確認、営業活動の見直しを実施します。そして固定費の見直しなどで黒字化にできるポイントがあれば対策しつつ、M&Aも視野に入れながらBSの改善は減退期に引き続き行っていきます。
このステージまでくると、社長が経営に対して安心してしまい現状を分析せず、対策をとっていないケースが多いと思われます。ここで再度、自社の立ち位置について見直してみることが必要です。
これまで述べたように、企業のライフサイクルのステージに応じて様々な状況が想定されます。ここに当てはまらないような場合であっても、まずはしっかりと事業状況を確認してシミュレーションし、策を講じて愚直に実践してみることが、重要であるといえます。
福島会計では数字をもとにお客様の状況を的確に分析し、将来を見据えてお客様に寄り添ったアドバイスを行っております。気になる点がございましたら、ぜひ一度ご相談下さい。