• 2018.07.18

高齢者の雇用について

福島会計の小島です。記録的な猛暑が続いておりますので、体調管理にはより一層ご注意ください。

さて、これまでも雇用に関するテーマを取り上げてきました。生産年齢人口が減少し人手不足が深刻になるなか、高齢者の再雇用・女性の活用・外国人労働者の受け入れなど、企業にとっては多様性のある雇用体系を整備することが必要となっております。

今回は高齢者の雇用について取り上げてみたいと思います。
明治安田生活福祉研究所の調査によると、定年前の50~64歳の正社員のうち約8割の人が定年後も働きたいと希望していることが分かりました。年金の支給開始時期が後ろ倒しにされるなか、定年後も一定の収入を確保したいと考える人が多い、と分析されていますが、「生活のハリや生きがい」も大きな理由になっているようです。定年延長や再雇用にあたって、給与や役職などの処遇が課題になりますが、働く意欲が高い高齢者が多いことは、好ましいことでしょう。

一方で「在職老齢年金」の制度が高齢者の就業意欲を阻害していることも分かりました。在職老齢年金とは、高齢者の月収と年金金額の合計が一定の水準を超えると年金が減る制度です。平たく言えば「働くと損する」という仕組みです。内閣府がまとめた60歳代の就業行動に関する調査結果によると、この制度がなければフルタイムで働くことを選択する確率は2.1%上昇し、人数換算で14万人分の押し上げ効果があると分析されています。

また、「再雇用制度」「勤務延長制度」「再就職会社のあっせん」といった制度は十分整っていませんが、全ての企業がこれらのいずれかの制度を備えているとしたら、フルタイム就業を選ぶ確率は26.3%、人数換算で176万人分の押し上げ効果があるとのことです。

このように、働きたい人が多くいるにもかかわらず、受け入れる側の体制が十分に整っていないことは大きな問題です。働き手がいないと嘆く前に、働ける環境を整えることが重要であると感じます。今回は高齢者について取り上げましたが、女性や外国人などについても同じことが言えるでしょう。

人手不足で悩んでいる皆様、一度雇用の多様性について見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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